靴擦れは登山を始めた方の多くの方が、最初に抱える問題の一つです。
登山をしていて、次の様な悩みを抱える方は多いと思います。
- つま先が痛い
- 爪が割れた
- 踵の皮が剥がれて痛い
- 母指球の皮が捲れる
自分も10年ほど登山をしていて、最初の2~3年は靴擦れに悩まされました。
最近はその対策と予防方法が見えてきたこともあり、今回は靴擦れをテーマに予防方法と対策を記します。
・登山中の靴擦れを何とかしたい人
・これから登山を始めるに当たって、靴擦れで悩みたくない人
靴擦れとは?なぜ起こる?
靴擦れが起こる原因
靴擦れを引き起こす主な原因は以下の通りです。
靴のサイズが足に合っていない
登山靴が大きすぎると、靴の中で足が動くことによって摩擦が生じ、靴擦れの原因となります。
一方で、小さすぎる場合、圧迫される部分に負担がかかり、爪割れなどを引き起こします。
しかしながら、足の形は十人十色。
足の形状やアーチの違いが人によって異なるため、自分の足にジャストフィットする登山靴を見つけるのは大変です。
先ずは、自分の登山靴が足のどこと当たるか、どこに余裕があるかを調べてみてください。
また、新品の登山靴は足に馴染んでおらず、長時間の使用で靴擦れを起こす可能性があるので要注意です。
足の湿気と濡れ
足が汗をかいたり、雨や徒渉で足が濡れた状態だと、皮膚が柔らかくなり、摩擦に対する耐性が低下します。
特に足の指と指の間は、汗が溜まりやすく皮膚が擦れ合う箇所である点から、靴擦れが起こりやすい箇所です。
登山後に足が蒸れて皮膚がふやけ、指と指の間に靴擦れを起こしている場合は、足の濡れが原因の可能性があります。
長時間や重荷での歩行
長時間歩くことで、同じ部分に繰り返し摩擦が生じ、靴擦れが発生しやすくなります。
また、荷物が重たくなると足元の負荷が大きくなり、靴と足の摩擦が増え、靴擦れを引き起こすため、注意が必要です。
特に、トレーニング不足での長時間山行は、足の皮が厚くなっておらず、靴擦れを起こす可能性があります。
過去の自分の例
自分は登山を始めた頃、モンベルのマウンテンクルーザー400や600クラスのトレッキングシューズを履いていました。
シャンクが適度に柔らかく履きやすかったのですが、より縦走に向いた登山靴が欲しくなり、スカルパのミラージュに変えました。
すると、踵に靴擦れができるようになってしまったのです。
同じサイズを選んだのですが、インソールを比べてみると違いがありました。
スカルパの方が外形が小さく、靴内の構造もそれに応じて小さくなっている事。
また、歩くとわずかに踵が擦れる感じに気が付きました。
足に合っていないインソールで長時間歩行したことが原因です。
しかしながら、自分は現在、靴擦れをほぼ起こすことなく登山を楽しんでいます。
次に自分が靴擦れ対策として有効だと感じた方法を紹介します。
予防&対策方法
早速、自分が実践している例を含めて具体的な予防方法と対策を記します。
足に合った靴を選ぶ
靴擦れを防ぐための最も重要なポイントは、自分の足に合った登山靴を選ぶことです。
そのためには、試し履きの際に実際の登山を意識して選ぶことが大切です。
試し履きでは、ただ立っているだけでなく、屈伸運動やつま先立ちをしてみて下さい。
特につま先立ちを30分~1時間ほど続けることで、靴と足の当たり具合を確認できます。
これにより、長時間の登山でも靴擦れが起きにくい靴を選べます。
登山靴を選ぶ際には、これらのポイントをしっかりと押さえて、自分の足に合った靴を見つけることが靴擦れ防止のポイントです。
靴を調整してもらう
靴を購入後、靴擦れが出てきた場合は、登山靴の調整、カスタムを検討してください。
登山靴の調整方法の一つに当たり出しが有ります。
店舗に登山靴を持ち込む事で、当たって擦れている部分を広げたり、狭めたり等の調整をしてもらえます。
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また、インソールの交換も対策の一つです。
元々のインソールは薄く、隙間が出来てしまったり、クッション性や足のアーチを十分サポートしきれないものが有ります。
インソールを交換することで、靴のフィット感を調整し、靴擦れのみでなく、疲労の軽減や膝への衝撃を和らげる効果が期待できます。
インソールの選び方やおすすめモデルについては下記の記事で詳しく解説しています。
是非参考にして下さい。
踵にテーピングを巻く
自分が最も効果があったと感じたのが、テーピングです。
厚手のテーピングを靴擦れ箇所に施すことで、足の皮を補強し靴擦れを起こしにくくします。
自分の場合、登山開始前に踵にニチバン バトルウィン テーピングテープの非伸縮タイプを張って補強しています。
2-3日程度の縦走登山であれば靴擦れを気にすることなく登山を楽しめるようになりました。
また、テーピングはエマージェンシーキットの中に入れておくのがおすすめです。
止血や添え木の固定、テントやザックの補強など、靴擦れ以外のシーンでも活躍します。
爪を短く切っておく
長すぎる爪は靴の中で足を圧迫し、靴擦れや爪の内出血の原因となります。
足の爪に内出血が起こる原因は、つま先が圧迫されたり、繰り返し「指先が靴に当たってしまう」からで、履いている靴によってはリスクが高くなります。
提供:大阪巻き爪フットケア専門店
つま先が圧迫された状態で岩や段差などの硬い部分を蹴ってしまうと、下図のように内出血を引き起こし、歩行に支障を来すため、注意が必要です。
また、爪は短すぎても、巻き爪の原因となります。
以上から、登山前は爪の長さを整ええておいてください。
また、装備にニッパーを入れておくと、登山中でも爪の調整ができるほか、針金と一緒に持つことでギアの補修に役立つのでおすすめです。
靴擦れ防止クリームを使用する
市販の靴擦れ防止クリームを使用するのも一つの手段です。
特にProtect J1は評判が高く、自分の登山仲間やトレイルランナーで愛用している人が多い製品です。
登山前に靴擦れ箇所に塗っておくことで、靴との摩擦を低減し、靴擦れを防止します。
また、靴擦れ以外にもザックやウェアによる汗疹やかゆみ対策としても効果を発揮します。
TJARでTwitter上でもプロモーションがんばってたProtect J1を試しに日帰り登山で使ってみたら感動するほどの効果があった。リュックで背中が蒸れていつも汗疹でかゆかゆになるのでスタート時に腰の辺りに塗った。途中まったくかゆくならなかった。帰ってきて鏡でみても赤くなってない #ProtectJ1 pic.twitter.com/0UqSStrCkG
— チェレンコフ🦜 (@cherenkov) October 15, 2022
ワセリンで代用する
また、すぐ用意できない場合や登山中の応急処置の場合は、ワセリンも効果的です。
ワセリンを靴擦れ箇所に塗ることで、同様に靴と足の摩擦低減効果が期待できます。
ワセリンは保湿クリームとしても活用できるため、エマージェンシーキットに入れておくことをおすすめします。
登山用のソックスを履く
登山用ソックスは、速乾性や通気性、クッション性に優れるため、足の蒸れや登山靴との隙間を無くし、靴擦れを予防できます。
特に上記の効果を得やすい化繊やウール製のミドルソックスがおすすめです。
また、ソックスは登山靴と足の間に位置するため、実際に登山で使用する前に登山靴との相性を確認しておいてください。
夏山登山用ソックスの選び方やおすすめモデルについては下記の記事で詳しく解説しています。
是非参考にして下さい。
まとめ
靴擦れは一度ハマってしまうとなかなか解決方法が見つからず大変です。
楽しいはずの登山が靴擦れ一つで辛いものになってしまいます。
しかし、彼を知り己を知れば百戦殆からず。
靴擦れの原因と箇所を把握して、自分の足と相性のいい靴を探し対策を講じれば、うまく付き合っていける問題です。
また、今回は書きませんでしたが、登山を重ねるごとに足の皮も厚くなり、靴擦れを起こしにくい足に育っていきます。
今回紹介した方法を参考に、靴擦れと上手く付き合いながら登山を楽しんで下さい。
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