だんだんと暖かくなってきて、今年こそは富士山に登りたいと考えている方も多いのではないでしょうか。
富士山は1年で20万人もの人が訪れる、日本で最も人気の山です。
一方標高は3776mと、日本の山でも群を抜いて高く、山頂付近では低体温省や高山病等に気を配る必要があります。
そのため、富士山に登るために
- どんな装備が必要か
- 登山に当たってルールやマナーがあるか
- 2024年の富士登山のルールについて
などを知りたいと考えている初心者の方も多いと思います。
今回は2024年夏季に富士登山に出掛けるにあたって必要な装備と今年のルールについて調査しました。
・今年こそ富士山に登りたい人
・登山は初めてだけど、富士山に登りたい人
・2024年の富士登山のルールがどうなっているのか知りたい人
富士登山の際の注意点
富士山には吉田ルート、須走ルート、御殿場ルート、富士宮ルートの4つの登山道が有ります。
どのルートも開山中は整備が行き届いており、危険箇所はほとんどありません。
一方、富士登山において気温と標高に気を配ることが必要です。
標高3000mを超える山は国内に21座ありますが、富士山の標高3776mは2位の北岳3193mを大きく超えています。
その分、気圧、空気の薄さや、山頂での気温の低さが他の山と異なるポイントです。
気圧が低い場所では高山病に注意が必要で、頭痛、疲労、吐き気や食欲不振が主な症状です。
また、富士山頂では麓(海抜0m)に対して気温が約22℃低下します。
麓の気温が40℃の猛暑日でも山頂では18℃ですが、日が暮れて25℃に下がると山頂では3℃となるため、真夏でも低体温症に警戒が必要です。
また、富士山は独立峰で海に近いため、最大風速15m/s以上の強風が吹くことも珍しくありません。
上記の理由から、防寒防風や、高山病につながらないよう休憩や水分、行動食補給に気を配る事が必要です。
富士登山に必要な装備
ここからは富士登山に必要な装備について解説します。
登山三種の神器とは
登山三種の神器とは
- 登山靴
- ザック(リュックサック)
- レインウェア(雨具)
を指します。
登山を長く続けていくのに必要な装備ですが、富士登山の後も登山を続けるか分からない方にとって、数万円するギアを複数揃えるのはハードルが高いでしょう。
富士登山をするに当たり上記三つから一つだけ購入するなら、レインウェアをお勧めします。
レインウェアを優先する理由
レインウェアを優先する理由は以下です。
- 防水透湿性の高いレインウェアは、荒天時にウェア内の汗濡れ、汗冷えを低減出来る
- ウィンドブレイカーとしての機能も期待出来る
- 登山用のレインウェアは脱着が用意
(靴を履いたままでも脱ぎ着出来るモデルが有る) - 登山靴とザック(リュック)は普段使いの物を代替可能
富士山は前述の通り、平地との気温差が大きく荒天時には強い雨風が吹き荒れる環境です。
特に風が下から吹く事も多く、ポンチョのような雨具は適しておらず、上下セパレートになっているレインウェアを準備する必要があります。
また、風が強い日にはウィンドブレイカーとしても使用可能です。
よって、単に雨を防ぐ以外の効果も期待できる、機能性の高い登山用レインウェアを優先して購入するのをお勧めします。
深部体温を下げないため、特に上半身のレインウェアに気を使って選ぶようにしてください。
富士登山に安心して持っていけるレインウェアをいくつか紹介します。
トレントシェル 3L・レイン・ジャケット
H2Noパフォーマンス・スタンダードの3層レイヤーで十分な防水透湿性を備えています。
町での悪天時のちょっとした外出でも活躍するジャケットです。
パンツは別売りなので、注意してください。
ベルグテックEXストームセイバーVI メンズ
ジャケットとパンツがセットのコストパフォーマンスの良いレインウェアです。
3層レイヤーとなっており、富士登山でも十分な機能性を確保しています。
自分は大学生の頃、このレインウェアの旧モデルでアルプスを歩いており、機能性は問題ないと感じました。
高級ブランドのウェアと比べれば機能性は劣りますが、それでも悪天候時に十分な機能とコストパフォーマンスの良さが魅力です。
ザック、登山靴はどうすればよいか
ザックと登山靴は下記の様に工夫することで、普段使いのスニーカーを流用可能です
ザックは普段使いの物で汚れても良い物を流用する
- ザックの中身はビニールに入れることで濡れを防止
- 登山靴は履きなれたスニーカーを流用可能
(新品を新しく購入した場合、かえって靴擦れが起きる可能性がある。)
一方、スニーカーはローカットシューズの場合がほとんどの為、小石や砂の侵入が気になる方はゲイターを事前に準備しておくと良いでしょう。
ただし、普段使いのスニーカーは濡れに弱く、流用する際は注意が必要です。
足元が濡れると、体温の低下や靴擦れの原因となります。
予算が有ればミドルカットの登山靴を利用することをおすすめします。
服装
行動中の服装は化繊の薄手の長袖長ズボンがおすすめです。
綿製の服は速乾性が無く、濡れた場合、低体温症を招く可能性が高まります。
ポリエステル、ナイロンなどの化学繊維のウェアを行動着とし、寒くなったら上にフリースを羽織って調整してください。
また、森林限界以上が大部分を占める富士山の登山道は、周りに日差しを遮る樹木が有りません。
日焼け対策として長袖を着用することをおすすめします。
ヘッドランプ
登りや下りでペースが上がらず日没してしまった場合、明かりをつけて行動する必要があります。
手で持つ懐中電灯は転倒した場合、咄嗟に手を突けず、顔面強打などのリスクが有ります。
そこで、おすすめしたいのがヘッドランプです。
ヘッドランプを使うことで両手が空き、咄嗟の場合手を突けますし、ザックの中身を確認したり、ストックを容易に使えます。
行動食&飲料水
登山で消費するエネルギーは1日当たり約2500kcal程度と言われており、これを補うのが行動食です。
チョコレートやナッツをはじめとしたハイカロリーな物と、グミやドライフルーツなど食べやすいものを組み合わせて携行してください。
また、登山中は水分も大量に消費します。
消費する水分量は
脱水量(ml)=体重(kg)×行動時間(時間)×5
と言われており、これの7~8割程度を補給する事が必要です。
また、水分は一気に飲むとすぐに排泄されてしまうため、こまめに補給することを心がけて下さい。
予備の着替え
悪天で衣服が濡れてしまった場合、そのままだと低体温症に罹る可能性が高まります。
小屋や下山したら素早く着替えるために、予備の着替えは携行するようにしてください。
登山をする上での基本的なルールやマナー
ここでは、登山をする上での基本的なルールとマナーを、特に富士登山に焦点を当てて紹介します。
入山前に登山届を提出する
登山届には入山、下山時刻、行動時間、装備、ルート、氏名連絡先を記載し、万が一遭難した場合の捜索に役立てられます。
登山届を提出しないと、創作に時間が掛かったり、保険が非適用になる場合が有るため、入山前までに山行計画を立て登山届を提出するようにしてください。
登山届は下記の方法で提出出来ます。
入山口での登山届ポスト
5合目登山口にある登山ポストに提出するもっともオーソドックスな方法です。
登山届の原紙が用意されており、手書きで記入し提出します。
記載の手間が10-20分ほどかかります。
管轄の県警にファックス、メール等で提出
事前に登山届を提出するには、管轄の県警にメールやファックスで送る方法が有ります。
山梨県警はファックス、静岡県警は専用のウェブサービスで提出出来ます。
山梨県警_登山計画書の提出方法
静岡県警_Netで登山計画書ナビ
コンパスで提出
コンパスで登山届を提出するのが最もオススメです。
コンパスは登山届を事前に提出するのみでなく、仲間との登山計画の共有や知人友人に下山を知らせる仕組みが整っています。
富士山に限らず日本全国の山で利用でき、無料で使える便利なサービスです。
入山前に靴裏の汚れを落としておく
標高の高い場所の生態系は、麓と異なります。
靴裏に付着した外来の種子や微生物により、山の生態系を破壊してしまう場合があり、注意が必要です。
北アルプスなどではハルサキヤブガラシやオオハンゴンソウ等の外来種が増えており、問題となっています。
富士山でも外来種が近年増加傾向にあり、警戒されています。
入山口に足拭きマットが設置されている場合もあるので、入山前や下山後は靴の汚れを落とすようにしてください。
今朝の富士山五合目は雲の上がりが速いようです。16℃と少し肌寒い感じです。管理センターの陰でサクラソウのような白い可憐な花が満開です。最近富士山の植生が外来種の脅威にさらされています。五合目登山道入口に靴底マットとブラシが設置されましたので、散策にこられる方は是非ご利用ください。 pic.twitter.com/PfKDm8Bl50
— 山梨県富士山五合目総合管理センター (@FujisanInfoC) August 18, 2020
動植物、石の採集持ち出しの禁止
富士山の5合目以上は国立公園特別保護地区に指定されており、動植物の採集、石の持ち出しは禁止されています。
たまに登頂記念に山頂の石を持って帰る方がいますが、禁止行為ですので注意してください。
2024年の富士登山のルール
富士山には4つの登山ルートが有りますが、2023年の登山者数の内訳は次の通りでした。
吉田ルート:9万4000人
提供:山渓オンライン
須走ルート:1万2600人
御殿場ルート:1万2000人
富士宮ルート:4万1500人
2023年はインバウンドの増加により、無計画、軽装での事故が多発し、問題となった事は記憶に新しい方も多いと思います。
そこで、今年から特に登山者の多い山梨県側の吉田ルートに登山規制が入ることが決まっています。
吉田ルートの富士登山規制について
現在計画されている吉田ルートの登山規制は下記の通りです。
- 入山人数を4000人/1日に制限
- 通行時間をAM3:00~PM4:00に規制(小屋宿泊者は除く)
- 通行料2000円(必須)
- 富士登山予約システムによる予約(24/5月初時点で詳細未定)
富士登山予約システムについては、専用のゲートを設けて、通行料や入山人数上限4000人を管理するのが狙いとのことです。
当日予約なしで訪れた場合、入山できない可能性が有るので注意してください。
24/5/20に吉田ルートのウェブ予約フォームが発表されました。
https://www.fujisan-climb.jp/info/20240510_yoshida_trail_reservation.html富士山吉田ルート 通行予約フォーム
注意点を以下にまとめます。
- 上記の予約フォームは通行予約のみであり、山小屋宿泊予約は別途必要
- 予約した場合でも、当日16時までに入山する必要あり(山小屋宿泊者を除く)
- 交通遅延や山行日程変更など、自己都合でのキャンセルによる返金不可
- 県都合により通行できなかった場合は返金可
静岡県側(須走、御殿場、富士宮ルート)の富士登山規制について
山梨県側と比較して規制は緩く、午後4時以降、現地での山小屋宿泊予約の確認を実施するのみとなっています。
また、静岡県側の取り組みとして、Webによる登山計画等の事前登録(24年6月~)、富士山保全協力金(1000円/一人)となっています。
協力金については、登山道上のトイレやAEDの整備、外来種防除マット・ブラシの設置費用等に利用されますので、積極的に払うようにしてください。
まとめ
今回は富士登山に必要な装備と、富士登山をするにあたって押さえておきたいルール、マナーについて調べ紹介しました。
特に2024年から吉田ルートは規制が強化されるため、このルートで富士山を目指す方は注意が必要です。
予約制となるため、週末の競争率が高くなりそうですが、予約出来れば渋滞や他の登山者とのトラブルを避けられます。
しっかりと装備と計画を整え、富士登山に出掛けてみて下さい。
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