- 行動食がチョコやナッツなどワンパターンになっている
- さわやかな味の行動食を取り入れたい
- 重さとカロリーのバランスが良い行動食を探している
行動食を選ぶ際、食べやすさは特に押さえておきたいポイントです。
なぜなら食べにくい行動食は、エネルギー補給の頻度が下がり、カロリー不足から行動不能に陥るリスクがあるからです。
自分は10年以上の登山経験の中で、様々な行動食を試してきました。
その中で食べやすいと感じた行動食の一つが、ドライフルーツです。
- 高カロリー食品である
- 口当たりが良く、風味が良い
- 携行性が良い
- 他の行動食との相性の良さ
- 保存性、日持ちの良さ
- オリジナルドリンクが作れる
そこで今回は、ドライフルーツを行動食におすすめする理由とデメリット、おすすめのドライフルーツについて詳しく解説します。
・行動食の選び方
・ドライフルーツの特徴
・ドライフルーツと他の行動食との違い
・ドライフルーツを使った行動食の一工夫
・ドライフルーツが向いている山行と不向きな山行

ドライフルーツの特徴

ドライフルーツとは、果物を乾燥させて水分を抜き、保存性とエネルギー密度を高めた食品です。
古代から保存食として親しまれ、現代では登山やハイキングといったアウトドア活動のエネルギー補給にも重宝されています。
バナナやレーズン、マンゴー、リンゴ、イチジク、レモンなどバリエーションが多彩。
甘みや酸味、食感の違いを楽しめるため、行動食として飽きにくいのも魅力です。
また、パンやスイーツに混ぜるなど食べ方の汎用性も高く、工夫次第で飽きずに食べられます。
噛み応えがあり、食物繊維やビタミン、ミネラルもバランスよく含まれているため、長時間の行動中でも栄養補給をサポートしてくれます。
▶ 行動食の選び方や、ほかのおすすめ行動食についてはこちらの記事で詳しく解説しています。

ドライフルーツを行動食におすすめする理由6選
カロリーを効率よく摂取できる
ドライフルーツのメリットの一つは、生果物より100g当たりのカロリーが高い点です。
主な果物とドライフルーツのカロリーは下記の通り。
ドライフルーツ (kcal/100g) | 生果実 (kcal/100g) | ドライフルーツ/生果実 | |
---|---|---|---|
レモン | 312 | 43 | 7.26倍 |
リンゴ | 293 | 56 | 5.24倍 |
バナナ | 314 | 93 | 3.37倍 |
マンゴー | 339 | 68 | 4.98倍 |
登山の摂取カロリーは、1hごとに約180~200kcal程度が望ましいとされています。
トライフルーツは生果実よりカロリー密度が4~7倍程度高く、エネルギーを効率良く摂取できます。
口当たりが良く、風味が良い

ドライフルーツは、レモンやオレンジ、リンゴなど、フレッシュな香りと自然な甘みを凝縮した果物から作られています。
噛むたびに広がる爽やかな風味は、登山で疲れた体にもすっと馴染み、リフレッシュ効果も抜群です。
また、乾燥によって味がギュッと凝縮されているため、少量でも満足感が得られるのもポイント!
口当たりも柔らかく、水分を極端に奪われることがないので、行動中でも食べやすいのが魅力です。
携行性が良い

行動食に代表されるチョコレートやクッキーは、溶けたり、崩れてしまうことがあります。
一方、ドライフルーツは溶けたり崩れる心配がありません。
また、小さくすれば、持ち運びやすくなり、様々な工夫ができる点も大きなメリットです。
- ドライフルーツを一つのナルゲンボトルに入れてミックス!
飽きずに食べ続けられる。 - ドライフルーツ毎にパウチに小分け
食欲や体調に応じてフルーツを変えられる。 - サコッシュの活用
パウチ+サコッシュを活用することで歩きならが食べられる。
他の行動食と相性が良い

登山では、ナッツやチョコレート、エナジーバーなど複数の行動食を組み合わせて持ち歩くのが一般的です。
しかし、味や食感が単調になったり、消化に負担がかかったりして、食後に不快感を覚えることも…
一方ドライフルーツは、栄養、食感、消化吸収の点から、他の行動食と食べ合わせが良いのが特徴です。
- 栄養バランスが補える
他の行動食で不足する栄養素を補える。 - 異なる食感を楽しめる
フルーツの種類ごとに異なる食感を楽しめる。 - 消化吸収が緩やかで体に優しい
血糖値の上昇を緩やかにし、持続的にエネルギーを供給できる。
栄養バランスを補える
炭水化物に偏りがちな他の行動食と比べて、ビタミン、ミネラル、食物繊維が豊富です。
例えば、バナナにはカリウムやマグネシウム、ビタミンB6、食物繊維が含まれています。
バナナに含まれる栄養素はエネルギー補給以外に、筋肉の機能をサポートする効果や、山行中の腹痛や便意の改善効果が期待できます。
このように、ドライフルーツは栄養バランスのが良く、他の行動食で不足しがちな栄養素を補ってくれるのがメリットです。

異なる食感を楽しめる

スナック菓子やチョコレートなどは、パサパサ、モサモサした食感が多めですが、ドライフルーツは軟らかく湿っぽい触感の物が多いのが特徴です。
例えばマンゴーやパイナップルはしっとりした果肉感、バナナやリンゴはパリッとした食感がありサクサクとした口当たりが楽しめます。
ドライフルーツと他の行動食とを組み合わせることで、食感を楽しみながら飽きることなく美味しく食べ続けられます。
消化吸収が緩やかで体に優しい

ドライフルーツは低GI食品に分類されます。
糖質が穏やかに吸収されるため、血糖値の急上昇を抑え腹持ちが良いのがメリットです。
GI値とは
GI値(グリセミック・インデックス)は、食後に血糖値がどれくらい上昇するかを示す指標です。
ブドウ糖を摂取したときの血糖値の上昇を100とし、他の食品と比較します。
GI値が高い食品は、血糖値を急激に上げやすく、エネルギーがすぐに消費されるため、素早くエネルギーを身体に行きわたらせるのに向いています。
一方、GI値が低い食品は血糖値の上昇が穏やかで、エネルギーの持続時間が長く、腹持ちが良いとされています。
一般的には、GI値が55以下の食品を「低GI食品」と呼び、健康的な食事やダイエット、持久力を必要とする運動時の栄養管理に活用されています。
各食品のGI値
食品名 | GI値 |
---|---|
ドライフルーツ(りんご) | 43 |
ミルクチョコレート | 91 |
カシューナッツ | 34 |
ようかん | 37~70程度 |
参考文献:https://www.toukastress.jp/webj/article/2022/GS22-26j.pdf
吸収の早いスナック菓子、せんべい類などと組み合わせることで、摂取後から長時間にわたって血糖値を安定させ、持続的にエネルギーを提供してくれます。
行動食として持ち歩くには、ドライフルーツをベースとしたトレイルミックスがおすすめ!
様々な種類のドライフルーツに加え、ナッツやマーブルチョコ、柿ピーなどを混ぜることで、急速なエネルギー補給と持続的なエネルギー供給のバランスを調整できます。
『自作は手間だなぁ~』という方には、ドライフルーツとナッツ類が既にミックスされているトレイルミックスもおすすめです。
▶ トレイルミックスを行動食におすすめする理由についてはこちらの記事で詳しく紹介しています。

保存性、日持ちの良さ

ドライフルーツは長期常温保存に適しているため、行動食に最適です。
一般的にドライフルーツの賞味期限は1.5カ月から半年ほどとされており、長期間の山行でも問題なく持ち運べます。
常温で保存できるという点も大きなメリットで、特に長期山行の後半に不足しがちなビタミンやミネラルの供給源として役立ちます。
- 湿気を避ける
ドライフルーツが湿気ると風味の低下やカビの原因となります。
密閉容器や乾燥材を活用して湿気を避ける。
容器に口を付けると、湿気りやすくなるため要注意。 - 酸化を避ける
ドライフルーツの酸化が進むと、風味が低下します。
数か月以上長期保存する場合は、ジッパー付きの袋を活用して空気を抜いておくのがおすすめ!
オリジナルドリンクが作れる

山行中の飲料水は水やお茶が中心となります。
山小屋に立ち寄れば清涼飲料水を買えますが、どうしてもお金が掛かってしまいます。
そこでおすすめなのが、ドライフルーツを使ってオリジナルフルーツドリンクを作ることです。
ナルゲンボトルに水とドライフルーツを入れ、1時間以上放置するだけ!
果汁が溶けだし、さわやかな味わいのオリジナルフルーツドリンクが完成します。


おすすめは山下屋荘介さんのはちみつレモン

オリジナルドリンクを作るには、山下屋荘介さんのはちみつレモンがおすすめ!
レモンのさわやかさとはちみつの甘さが絶妙にマッチした、おいしいドリンクが作れます。

山下屋荘介さんのドライフルーツのその他のラインナップとしては、リンゴやオレンジなどもおすすめです。
例えば、山で飲むいつもの紅茶にオレンジのドライフルーツを加えるだけで、手軽にフルーツの自然な甘みや酸味を味わえます。
是非、お試しください。
▶ その他、ナルゲンボトルの便利な使い方についてはこちらの記事で詳しく紹介しています。

ドライフルーツを行動食にするデメリット
重たい

市販のドライフルーツは、重量が登山においてデメリットとなります。
カロリーメイトなどのエナジーバーとドライフルーツを比較すると、100g当たりのカロリーはドライフルーツの方が小さくなります。
エナジーバーと同じ量のカロリーをドライフルーツで補給するためには、約1.5倍の量が必要です。
カロリー (kcal/100g) | |
---|---|
ドライフルーツ_バナナ | 314 |
ドライフルーツ_マンゴー | 339 |
カロリーメイト | 500 |
1本満足バー | 527 |
このため、ドライフルーツは軽量化が求められるトレイルランやクライミングなどの登山スタイルには不向きです。
口の水分が奪われる

ドライフルーツは種類によって、口の水分が奪われやすい点に注意が必要です。
例えば、バナナやプルーンなどの甘く濃厚なドライフルーツは、食べると口の中の水分が奪われ喉が渇きます。
逆に、レモンやミカンなどの酸味の強いドライフルーツは、唾液が分泌されやすく、食べやすいという特徴があります。
登山中に口の乾燥を避けるためには、酸味のあるドライフルーツを選ぶか、こまめに水分も一緒に補給することが重要です。

まとめ
今回はドライフルーツを登山の行動食におすすめする理由6選とデメリットを紹介しました。
おすすめの理由は以下の通りです。
- ドライフルーツは生果実よりカロリー密度が4~7倍程度高く高カロリーである
- 口当たり、風味が良く自然な甘みがエネルギー補給にも役立つ
- 小分けにしやすく行動中もすぐ取り出して食べられる携行性の良さ
- 栄養バランス、食感、消化吸収が緩やかで他の行動食と相性が良い
- 賞味期限が1.5カ月から半年ほどで保存性が良く、長期山行に向いている
- ドライフルーツを水につけておくことでオリジナルドリンクが作れる
一方デメリットは
- エナジーバー等と比べて100g当たりのカロリーが少なく、重たい
- 濃厚なドライフルーツは、食べると喉が渇
上記の点から、長期の縦走などに向いている行動食と言えます。
今回の記事を参考に行動食にドライフルーツを取り入れてみてはいかがでしょうか。
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